第2回目のテーマは「試行雇用(トライアル雇用)奨励金」です。

今回は先生方があまり活用をしていない助成金関係で診療所(クリニック)でも受給が出来そうで、使いやすい「試行雇用(トライアル雇用)奨励金」をテーマにしてお話をしたいと思います。
そもそも助成金とは、国が施策を実現するために支給している返済不要のお金ですが、制度自体がよく知られていない点や手続きが面倒であったりと意外と活用されていないのが現状です。しかしながら活用を検討することは、先生方にとってメリットはあってもデメリットは少ないと思われます。

注)法人税又は所得税の課税所得を計算する場合、益金として課税対象となる点にご留意下さい。

今回のテーマ「試行雇用(トライアル雇用)奨励金」

多くの事業所では『人』の問題で悩み、経費(人件費)と時間がムダになっている場合があるかと思います。
でも、そのリスクを軽減する方法があるとしたら・・・・・・・。

職員を採用した時に以下のような経験をされたことがありませんか。

  • 職員を採用してもすぐに辞めてしまう
  • 採用してみたら思っていたような人材ではなかった
  • なかなか仕事に慣れないで指導に時間を取られる
  • 他のスタッフとうまくやれない

『人』の採用は、実際に雇ってみないと判らない点が多々あり、上記のような問題が起こる可能性が十分考えられます。そこで国が雇用対策の1つとして、3ヶ月以内の試用雇用(トライアル雇用)を実施した事業主へ奨励金を支給する制度を実施しております。

1.試行雇用(トライアル雇用)奨励金とは?
  業務遂行に当たっての適性や能力などを見極め、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけとするため、経験不足等により就職が困難な求職者を試行的に短期間雇用(原則3か月以内)する場合に支給される奨励金です。

『社労士のアドバイス』
 この奨励金は、3ヶ月以内の定めがある雇用契約(有期雇用契約)を結び雇用することが必要となります。言い替えれば雇用契約期間を満了すれば、必ず本採用とすることを義務づけるものでもありません。しかし、できるだけ本採用となるように努めるべきかと思います。また、社会保険等の加入に関し
ては、試用期間であっても雇用した日より加入することが必要です。
  ※雇用契約期間は、3ヶ月以内であれば1ヶ月や2ヶ月でも可能です
 ※雇用契約に対しては、事業主と従業員との間でこの制度の主旨を理解し行うべきだと考えます

2.主な支給要件
  試行雇用(トライアル雇用)奨励金の支給を受けるには以下の3つの条件が必要となります。
 条件1 ・・・ ハローワークを通じてトライアル雇用の求人をしている
                 
※ハローワークの紹介でない採用は対象となりません

 条件2 ・・・ 採用した職員が以下のいずれかに該当している
                  ※診療所(クリニック)では比較的若い職員を採用するケースが多く②又は③の適用が可能だと思われます。
         ①45歳以上65歳未満の中高年齢者
                   (原則として雇用保険受給資格者に限る)
         ②35歳未満の若年者
         
③母子家庭の母等
         ④障害者
         ⑤季節労働者
          (指定地域の指定業種に限る)
         ⑥日雇労働者・ホームレス
          
 条件3 ・・・ 雇用保険の適用事業所である(雇用保険に加入している)

『社労士のアドバイス』
 上記の条件以外に以下のような注意点がございます。
  ①支給用件期間(過去6ヶ月間)に労働者(雇用保険の被保険者)を事業主都合(解雇および退職勧奨)で離職させていない。
   ※試行雇用(トライアル雇用)期間中も同様
 ②過去3年以内に雇用した者を試行雇用(トライアル雇用)することはできません。
 ③労働保険料の未納が無い(奨励金支給の前々年度より前の年度まで)

3.支給される金額
  試行雇用(トライアル雇用)で雇用した一人に対して1ヶ月4万円最大12
  万円
が支給されます。
  ※支給対象期間が1ヶ月に満たない場合は、別の計算式より算定されます
  例 8月にAさんとBさんを試行雇用(トライアル雇用)で採用し、Aさん
     を2ヶ月、Bさんを3ヶ月雇用した場合
    Aさんの奨励金の支給額
     4万円 × 2ヶ月 = 8万円
    Bさんの奨励金の支給額
     4万円 × 3ヶ月 = 12万円
    事業所には合計で20万円の奨励金が支給されます。

『社労士のアドバイス』
 試行雇用(トライアル雇用)の対象労働者が途中で自己都合退職しても支
  給されます。

4.受給のための手続き
 ①ハローワークに求人登録をする時に、トライアル雇用専門か併用の求人票とトライアル雇用求人関係資料を提出
 ②トライアル雇用の対象者を雇入れた日から2週間以内にトライアル雇用実施計画書をハローワークへ提出
 ③トライアル雇用終了後の1ヶ月以内にトライアル雇用結果報告書及び試行雇用奨励金申請書をハローワークへ提出

5.試行雇用(トライアル雇用)に関連する奨励金
  25歳以上35歳未満の者を試行雇用(トライアル雇用)で雇用し、その後正
  社員として1年以上継続雇用した場合に「若年者雇用促進特別奨励金」が
  支給されます。以下簡単に支給要件を記載いたします。


①試行雇用(トライアル雇用)により雇入れた者が対象
②対象労働者が試行雇用(トライアル雇用)開始前の3年間、雇用保険の被保険者でなかった場合(失業中である)
③試行雇用(トライアル雇用)終了後、正社員(雇用期間の定めがない雇用で1週間の所定労働時間が通常の労働者と同程度)として1年以上継続雇用した場合
  ※若年者雇用促進特別奨励金として支給される金額 
 (6ヵ月後と1年後の2回に分割して支給されます)
   30歳未満 ・・・ 総額20万円
   30歳以上35歳未満 ・・・ 総額30万円

『社労士のアドバイス』
 対象労働者が3年間雇用保険の被保険者期間が無いことの確認は、個人情報の関係で本人の同意を得てハローワークに確認することが必要かと思います。

 保坂社労士事務所
   TEL 029-254-8810
   FAX 029-254-8810
   E-mail 
srhosakaoffice@ybb.ne.jp

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
029-291-6956

営業時間:AM9:00~PM5:30
定休日:土曜日、日曜日、祝祭日、夏季休暇、年末年始

現在、茨城県水戸市に事務所を置く社会保険労務士(社労士)です。
当事務所は、一人医師医療法人、個人開業医(クリニック)の先生方及び介護福祉事業の経営者の皆様の良き相談役を目指し努力してまいります。当事務所の活動地域は水戸市、ひたちなか市、笠間市、那珂市、東茨城郡を中心に考えております。

就業規則診断(無料)

お電話でのお問合せ

029-291-6956

<営業時間>
AM9:00~PM5:30
※土曜日、日曜日、祝祭日、
夏季休暇、年末年始は除く

保坂社労士事務所

住所

〒311-4142
茨城県水戸市東赤塚2081-1
キューコートアカツカ502

営業時間

AM9:00~PM5:30

定休日

土曜日、日曜日、祝祭日、
夏季休暇、年末年始